図書館に行こうよ ―図書館職員の図書館的日常―      134  
     
   深まりゆく秋  
     
   日に日に秋も深まり紅葉も見頃の時期になりました。読書の秋、芸術の秋、スポーツの秋、食欲の秋などいろいろありますが、どのように過ごされているでしょうか。一年のうちで最も過ごしやすいと言われている季節ですが、もう間もなく冬の訪れの気配も感じられるかと思うと憂鬱になります。冬を楽しみにしている方には申し訳ないのですが…。


✿ 珍客

4月から花矢図書館に異動して半年が経ちましたが、様々なお客様が来館されます。「ギャーッ‼」という悲鳴をあげることもしばしば。玄関先にはヤモリが…。そのうち机の下に…。すぐさま捕獲し(私ではなく)、よくよく見ると何か違うかな?と。図鑑で調べてみると正体はトカゲの仲間のカナヘビ。丁重にお帰りいただきました。ある時はお客さんが帰り際に「ギャーッ‼」。何事かと見に行った私も「ギャーッ‼」。そこには体長10cm以上の巨大毛虫が…。毛虫は見慣れていてもこれ程の巨大毛虫は初めてで、これもまた丁重にお帰りいただきました。 カメムシの大量駆除から始まり様々な虫たちとの出会いがあり、秋にはオニヤンマ、赤とんぼ、バッタ等々来館していただき、日々楽しませてもらっています。また一昔前までは、夏から秋にかけて人里に降りてきて食料を蓄え冬ごもりに備えるのが定説でしたが、近年は季節を問わずあちらこちらでお見掛けしているこの方だけは、くれぐれもお近づきにならないでいただきたいものです。悪しからず…。


✿秋の読書週間

10月27日から11月9日は読書週間です。今年の標語は「おかえり、栞の場所で待ってるよ」です。家に帰った時に「おかえり」と迎えてくれるのはとても嬉しいですよね。本好きの人にしてみたら外出先でも、移動中でも少しの時間があれば読みたいものです。家に帰って家事などささっと済ませて一刻も早く栞の場所に行きたいのではないでしょうか。とても惹きつけられるフレーズですね。


✿泣ける本

秋が深まるにつれ、どことなくもの悲しく感じられることから泣ける本を少しご紹介したいと思います。 ☆『その日のまえに』重松清著 「その日」とは誰にもいつかは訪れる死を迎える日のことです。余命宣告を受けて「その日」までをどう迎えるか、遺された家族はどう向き合うか、それぞれの立場から生と死が描かれています。『その日のまえに』、『その日』、『その日のあとで』と他4編の連作短編集です。当たり前のように過ごしている日常の有難さを感じさせられ、重いテーマでありながらも前向きに生きる勇気と希望を与えてくれます。 だいぶ前に一度読んでその時はまだ子どもも小さく、今は成人し独立している中での再読ですが感じ方も変わったように思います。その時々の状況でそれぞれの立場での捉え方など変わり、何度でも読みたくなる作品だと思います。 重松清の作品は家族をテーマに書かれているものが多く、『カシオペアの丘で』もおすすめです。 ☆『さよなら、田中さん』鈴木るりか著 中学2年生の女の子が書いたということで話題になりました。全5編の連作短編集で、裕福とはいえない母子家庭の女の子、小学6年生田中花実の日常を明るくユーモアたっぷりに描かれています。最終章は主人公の同級生の男の子の目線で書かれていて、中学受験に失敗した男の子とその家族の物語です。母親の屈折した愛情に必死にこたえようとする男の子、子は親を選べない事にただただ切なくなります。 哀愁の秋、泣ける本おすすめです。


 ✿読書感想画展示会

10月25日(金)、26日(土)に花岡公民館にて花岡保育所園児及び花岡なかよしキラキラクラブの児童有志による読書感想画展を開催しています。子どもたちの感性あふれる豊かな作品を是非ご覧ください。


✿古本、雑誌プレゼント 保存期間の過ぎた雑誌、受入れしていない寄贈図書を10月25日~11月8日まで花矢図書館にてプレゼントいたします。数に限りがありますのでお早めにいらしてください。お待ちしております。 (花矢 久)