図書館に行こうよ ―図書館職員の図書館的日常―      145  
     
  新しい年度もよろしくお願いいたします  
     
   令和になって初めての4月、新年度が始まりました。新型コロナウイルスのおかげで、子どもたちの姿が少なく、とても静かでとても淋しい図書館です。
 知人のブログに「コロナ鬱」というタイトルの書き込みがありました。引用しますと「今は国の指示に従い 文化もスポーツをすることも 観ることも できません コロナ鬱にならないためには 自宅で 運動をして(体操でもストレッチでも自重運動でも) 晴れた日は 自宅近所の 公園に行き軽く運動をしてたくさんの太陽を 浴びてください そして自宅では なるべく コロナの情報は 少しにして 音楽を聴く 映画を観る 本を読む 絵本も読む 歌を歌ってみる 今は この方法が一番です」とありました。
 不要不急の外出は避けながらも、心身の健康を維持するための努力が個々人に求められています。まずは身体を動かすことが大事なのかもしれませんが、心の健康のためにはぜひ図書館をご利用いただけたらと思います。


✿図書館で「ものがたり」づくり

 図書館では昨年度から市立総合病院との連携で、医療コーナーの充実を進めています。国立がんセンター発行のがんに関するパンフレットをお持ちいただけるように展示しています。併せて「医療コーナー」として分類によらず医療に関係する読み物も配架しています。
 今の時代、病気に関する情報はインターネットでたくさんの情報が得られます。その情報量には図書館に勝ち目はありません。ですが、本の持つ力ではどうでしょうか。ある方は、医療に関するネット情報よりも正岡子規の作品から生きる力をもらったといいます。
 図書館後援会幹事長の岩澤さんの本誌への寄稿の中に「私も自分を励ますとときに思い出す若山牧水の短歌」を教え子への手紙に添えたとありました。かつて読まれた(教鞭をとった中での)本からのものと推察します。
 私はかつて、単に会議までの時間つぶしのために手にした文庫本で、隙間埋めに助かったことがありました。それがシリーズもので結局すべてを読むことになりましたが、読み物の中の人の生き方に学ぶべきものもありました。
 その人なりの本の読み方があります。本から何を感じ、何を糧とするのか、それはその人によって違っていると思います。人それぞれ、求めているものによって読むものも違ってくるのでしょうから。そこには意識するとしないとにかかわらず、何らかの「ものがたり」があると信じています。
 ある図書館で、育児の本を何冊も何冊も借りるお母さんがいたそうです。育児に正解はないと思いますが、そのお母さんは自分のしていることに間違いはないという答えを探したかったそうです。そこにも一つの「ものがたり」があると思うのです。
 自分の「ものがたり」を探しに、作りに図書館に足を運んではいかがでしょうか。


✿早い終息を願って  

 3月、4月と事業がない中でも図書館は開館しています。 図書館に本を借りに来ることが不要不急のことか、という判断になるのでしょうが、心の健康に本は欠かせません。もう読む本は決まっている、というかたもいらっしゃるのではないでしょうか。そんな方は、ぜひ「予約」機能を活用してください。長時間滞在によるリスクの軽減にはつながると思います。
 書棚の間を歩きながら、本を探す喜びもあると思います。ほかの利用者の方と距離をとりながら探してみてはいかがでしょうか。
 入退館の際には、各図書館の出入り口での消毒液での手消毒を忘れずにお願いします。


✿ちょっと朗報です

 コロナ騒動の中で、自分で本が読める方は幸いですが、図書館事業の「おはなし会」を楽しみにしている方にとっては、とてももの足りない日常になっていることと思います。
 そこで朗報を一つ。ネット環境が必要ですが、かつて事業でお世話になった先生からユーチューブでの絵本読み聞かせを始めたとの連絡がありました。
 出版社、作家の使用許諾が必要でなかなか進まないそうですが、許諾され次第配信が増えていくそうです。
 ユーチューブで「りぷりんと」とぜひ検索してみてください。
 スロースタートの年度になりましたが、今年度もどうぞよろしくお願いいたします。(保)