図書館に行こうよ ―図書館職員の図書館的日常―      158  
     
  時代小説を読んでみませんか!  
     
   読書は人生を豊かにしてくれる趣味の1つ!とよく言われます。暑かった季節もあっという間に過ぎていよいよ読書の季節です。私もほぼ毎日本を読みますが、季節がら最近は睡眠導入剤になることもしばしば。とは言え、「秋の夜長」素敵な本と出会いたいものです。
時代小説というと歴史が好きな人向けとか、年齢層が高めな人向けといった印象がありますが、作品の内容が多様化したことで読者層が拡大しているように感じます。そこで今回は、時代小説の面白さについて私の独断ですが、いろいろお話したいと思います。

✿「時代小説の楽しみ方」
歴史上に実在する人物を読むのもよし、時代背景や当時の生活を楽しむもよし、侍や忍者が出てくる剣術を楽しむもあり。また、歴史を背景に1つのジャンルに特化したストーリーで、例えば料理や医術、ミステリーものなど、楽しみ方の種類は様々です。多くの愛読者が推薦する読みやすい本と言えばいろいろありますが、まずはこちらをお薦めします。
・「あきない世傳 金と銀」高田 郁著
大坂天満の呉服商へ女衆として奉公を始めた一人の女性の、困難を乗り越えて生きていく姿を描く物語で、面白さ満載の物語です。
・「ぼんくら」宮部みゆき著
八丁堀同心の「ぼんくら」平四郎と彼の管轄内に住む鉄瓶長屋の人々を中心に話は進みます。そこで起こるミステリーのあれこれと人の心模様。「はっ」とするどんでん返しや、ほろりと来るシーンもあり、平四郎の人に対する視線の温かさがいいですね!

✿「時代小説の選び方とお薦め作品」
時代小説のジャンルは大きく分けて「剣豪小説」、「捕物帳」、「市井小説」、「伝奇小説」があります。
◆剣豪小説といえば、辻堂魁著『風の市兵衛』、佐伯泰英著『密命』、池波正太郎著『剣客商売』、上田秀人著『奥右筆秘帳』、佐伯泰英著『居眠り磐音江戸双紙』など人気ですが、剣豪である主人公の生き方や悪を斬っていく剣さばきの爽快さを味わうことができます。
◆捕物帳は、江戸を舞台に町奉行所の役人が事件を解決しながら、そこに関わる人々の悲哀や仁義、人情を描いたものです。現在でも人気がある池波正太郎著『鬼平犯科帳』、平岩弓枝著『御宿かわせみ』や、上田秀人著『勘定吟味役異聞』、岡本綺堂著『半七捕物帳』、和田はつ子著『料理人季蔵捕物控』などがあります。ちなみに私も利用者の方に勧められ、宇江佐真理著『髪結い伊三次捕物余話』15巻を一気に読んでしまいました。当館でも人気の作品であり作家です!
◆市井小説は、市井に暮らす職人や商人など、平民の暮らしや庶民の人生模様を描いたものが多く、藤原緋沙子著『隅田川御用帳』、山本一力著『深川黄表紙掛取り帖』、高田郁著『みをつくし料理帖』その他、北原亞以子や澤田ふじ子著などの読みやすい作品ばかりです。
◆伝奇小説には、風野真知雄著『妻は、くノ一』、宮部みゆき著『おそろし』、山田風太郎著『魔界転生』、畠中恵著『しゃばけ』、夢枕獏著『陰陽師』など。忍びやあやかし、妖怪が登場し現実離れした活躍にワクワク感を味わうことができるファンタジー小説です。
ご紹介した作品はほんの一部です。時代小説の中にはシリーズものも多いので、単行本より低価格で小さくて軽い文庫本は、外出先で気楽に読めます。また、好きな作品に出会えれば、今の時代を忘れてしまうほど魅力に引き込まれます。さっそく読んでみませんか!

✿お知らせ 10月31日(土)花岡公民館において、花岡地区産業文化祭参加事業として、花岡保育所園児及び花岡なかよしキラキラクラブ児童の皆さんによる「読書感想画展」を開催します。子どもたちの独創的な作品をどうぞご覧ください。合わせて10月27日~11月10日まで保存期間の過ぎた雑誌や受け入れしていない寄贈図書など、花矢図書館においてプレゼントいたします。数に限りがありますのでお早めに!                                       (花矢:小)