図書館に行こうよ ―図書館職員の図書館的日常―      162  
     
  今年も残すところ・・・来年こそは!!  
     
   今年も残すところあとわずか…今年はコロナに振り回された1年となりましたが、それもあとわずか…となってほしいものです。1年間先がまったく見えない生活を送り、みなさんストレスで暗い日々を過ごされていたのではないでしょうか。新しい年が明るい日常を迎えられるように、少しでも明るい気持ちで前向きになれるような本をご紹介したいと思います。

✿おすすめ図書その①
 『ころべばいいのに』(ブロンズ新社)ヨシタケシンスケ・作
 まずは、すぐに読めてしまえる絵本から紹介します。ちょっといやなことをされたときやイライラしてるときなど、「ころべばいいのに」…こんなふうに思ったことはないですか?そんな邪悪な気持ちを誰でも一度は持ったことがあると思います。そんなことを思う自分はとっても悪い人間で、最後はいやな気持になります。でも、この絵本を見てると、「わかるわかるその気持ち」「あるあるそんなこと」と共感しながら、100%いい人にはなれない自分を肯定してくれているようで、とても楽になれる本です。誰だって気の合わない人もいるし、頭にくることだってある…「でも、みんなそうだから、なんとか折り合いをつけて生きていこう」って言われてるような気がしました。イライラした気持ちに寄り添ってくれる絵本です。

✿おすすめ図書その②
 『だいじょうぶだいじょうぶ』(講談社)いとうひろし・作絵
 おじいちゃんが孫に小さいときからかけていた言葉「だいじょうぶ、だいじょうぶ」がキーワードの絵本です。何があっても「だいじょうぶだよ」というこの言葉が、呪文のように主人公の男の子を強くしていきます。孫の成長とは反対におじいちゃんは年老いていき、今度は成長した孫が「おじいちゃんだいじょうぶだよ」と言葉をかけます。言葉の力ってすごいなって感じさせられます。落ち込んでいるとき是非読んでみてください…絵本の中から「だいじょうぶだよ」って語りかけてくれるにちがいありません。

✿おすすめ図書その③
 『十二番目の天使』(求龍堂)オグ・マンディーノ・著、坂本貢一・訳
 皆さん「涙活(るいかつ)」という言葉をご存じですか?「涙活」とは、意識的に泣くことでストレス解消を図ることです。意識的に涙を流すことにより、人間の神経が緊張や興奮を促す状態から、リラックスや安静を促す状態に切り替わるのだそうです。今年はコロナ禍の中で、「もう少し頑張ればなんとかなる」という気持ちでずっと緊張感を持って生活してきたのではないでしょうか?そんな心と体を「涙活」でリラックスさせてあげましょう。そこでおすすめの本がこの本です。人生の絶頂期からある出来事がきっかけで生きる望みを失っていた一人の男と、野球が大好きで何に対しても絶対にあきらめない強い気持ちを持った小さな少年との、心あたたまる感動の物語です。「泣ける」こと間違いなしです。

✿おすすめ図書その④
 『ライオンのおやつ』(ポプラ社)小川糸・著
 この本は、瀬戸内の島にあるホスピスが舞台で、若くして余命を告げられ、そこで余生を過ごすことを決めた女性が主人公です。「ホスピス」「余命」などと聞くと悲しく悲壮感漂う作品なのかと思っていましたが、そんなことは全くなく、彼女を取り巻く様々な登場人物によって、穏やか時間の流れを感じる作品です。タイトルの、『ライオンのおやつ』に隠された意味の深さにも納得させられました。「幸せというのは、自分が幸せであると気づくこともなく、ちょっとした不平不満をもらしながらも、平凡な毎日を送れることなのかもしれない。」という一節がありますが、本当にその通りだなと思い知らされた1年でした。是非皆さんも読んでみてください。
  いつでも本探しのお手伝いをさせていただきますので、気軽に声をかけてください。スタッフ一同皆さんのご来館をお待ちしております。(田代:安)