図書館に行こうよ ―図書館職員の図書館的日常―      170  
     
  『本』と『手紙』  
     
   桜もあちらこちらで咲き始め、ほのかに春の香りがする様になりましたが、花冷えでしょうか、まだ寒いですね…。この記事が掲載される頃には、ぽかぽか陽気で桜も次々と満開になっているでしょうか。
  先日、友人からメールがあり、そこには写真が貼付されていました。それは、私が東京時代に住んでいた「谷中」にある「夕焼けだんだん」という名所の桜でした。そのメールには、二人だけが分かる想い出の言葉が添えられていました。たとえ短い言葉でも、書かれているととても嬉しいものです。その小さな『手紙』に、一足お先に春のほっこりを楽しませていただきました。

✿『手紙を書こう!』
 さて、今回のお話しは『手紙』についてです。私は筆まめではありませんが、たまに書きます。本当に伝えたい想いは、自筆の手紙にするのが一番だと思っているからです。みなさんも年賀状ぐらいは書くと思うのですが、手紙となるとあまり書かないのではないでしょうか。
 今月の田代図書館のテーマ展示は『手紙を書こう!』です。手紙の書き方、文字や言葉について、絵手紙の手法、手紙がキーになる小説、母への感動の手紙集、はたまた文豪たちが書いたラブレター集などなど、手紙に関連した本を集めました。展示期間は今月末までですが、その後も各館で通常通り貸出ししておりますので、ご興味を持たれた方は是非ご利用下さい。みなさんも手紙を書きましょう!

✿『カタチを変えて』
 そうは言っても。手紙を書くのは照れくさいし、苦手だという方はいらっしゃると思います。そんな方におすすめするのは『絵手紙』です。文章はダメだけど絵なら描けるという方はいらっしゃると思いますし、絵は「味」です。上手くなくてもいいんです。逆にその方が想いが伝わる様な気がします。もらった相手が「ニコッ」と微笑む様な自分にしか描けない心のこもった絵手紙を贈りましょう。そして、「お元気ですか?」など、一行だけでもいいので“ひとこと”を添えましょう。きっと喜んでくれるはずですよ。

✿『言葉のプレゼント』
  プレゼントは何でも嬉しいものですが、私が貰って一番嬉しいものは『本』と『手紙』です。何故かと言えば、手紙を書いている時は相手のことをずっと思っているからです。それも、その方の大切な時間を使ってです。これほど、嬉しいプレゼントはありません。
  『本』もまた、作者はもちろんのこと、その方の“想い”が表れるものだと思います。以前、後輩から『夢は逃げない。逃げるのはいつも自分だ。』(高橋歩著/サンクチュアリ出版)という本をプレゼントして貰った事があります。夢に向かって足踏み状態だった自分を叱咤激励する様な内容は、当時の自分には心を見透かされている様で少しショッキングでしたが、今では挫けそうになったら読み返す、人生のバイブルになっています。

✿『こんなご時世だからこそ』
 今はどこかに出掛けることも、誰かに会うのもままならない時代です。ですが、こんなご時世だからこそ、疎遠になっている友人に、遠くにいる大切なあの人に、そして、隣にいる大好きな人に…“想い”の詰まった『手紙』を書いてみませんか。
 “想い”を伝えるために『言葉』が生まれ、それを残すために『文字』が出来、それを届けるために『手紙』が出来たのではないかと、私は思います。そして、その“想い”を広く皆に伝え残すために『本』が誕生したのではないかと…。『本』は作者の想いがたくさん詰まった一通の『手紙』なのかも知れません。(田:白)

✿こんなご時世…2
  コロナ禍で外出を控えていらっしゃる方も多いことと思います。栗盛記念図書館は連休中も開館予定ですが、「人のいるところは避けたい、でも本は読みたい」というジレンマを抱えている方も多いのではないでしょうか。
  そこで、昨年の臨時休館と同様に貸出冊数無制限、貸出期間3週間、というようにさせていただきます。期間は4月27日(火)から5月23日(日)までです。23日以降も行ってほしい、という方もいらっしゃるかもしれませんが、コロナが落ち着くことを願って、5月25日からは通常通りとさせていただきます。手紙と読書での日常に、ご理解、ご協力をお願いいたします。(保)