図書館に行こうよ ―図書館職員の図書館的日常―      174  
     
  カウンターの内側へ  
     
    今年の4月から大館市立花矢図書館で勤務している新人図書館員です。人並みの読書好きはもとより、図書館で仕事することは幼い頃からの夢だったので、こうしてカウンターの内側から来館者の皆さんを御案内している事実が嬉しくてたまりません。まだまだ至らぬ点はあるかと思いますが、先輩方から日々精一杯学びながら、気持ちの良い図書館環境づくりに貢献していけるよう努めていきます。よろしくお願いします!  

✿「はじめて」だらけの毎日
「図書館員」として改めて図書館に立つと、「利用者」側からは見えない世界がたくさん見えてきます。一番強く感じられたのは「図書館の居心地の良さ=図書館員の気遣い力」でした。勿論どの仕事でもそれは同じなのですが、本を借りに、勉強をしに、バスを待っている間に、休憩に…など、目的があってもなくてもまったり長居したくなってしまう環境といえば「図書館!」と当たり前のように認識して日々過ごしていただけに、あまり認知していなかった図書館員の気遣いを改めて痛感しました。また、来館者の皆さんからの本の感想や世間話、新人の私への温かい応援を受け、この環境はこれまで図書館が築いてきた信頼なんだと強く感じられました。
「はじめて」といえば先月、図書館員として初めて小学校で絵本の読み聞かせを行いました。「今の時期なら何を読もうか?」「○年生くらいならどれが面白いかな?」と、私自身もわくわく楽しく担当させて頂きました。読み聞かせ当日の子どもたちの十人十色な反応からも、次回へ活かす点や反省点をたくさん発見することが出来ました。これからも私自身含めて参加者全員が楽しめる雰囲気を忘れない読み聞かせを続けていきたいと思います。

✿ 三十年来のお薦め
小さい頃に親に読んで聞かせてもらった絵本や、大人になってからも忘れられず改めて購入して手元に置いている小説…そんな本、皆さんにはありますか?私は小学生の頃よく図書館を利用していたこともあって、その時期に出会った本への思い入れが深いです。その中から個人的に気に入っている作品を何冊か紹介させて頂きます。
・「ショートショート」シリーズ(星新一/著)
星新一の超短編を集めたセレクションシリーズです。生み出した短編小説の作品数はなんと1000篇以上とされています。登場人物のやりとりにクスっとする場面や、ブラックかつユーモラスな世界観やオチが特徴的な作風で、教科書をはじめ一度は読んだことのある作品もあるかもしれません。
・「おとうさんがいっぱい」(三田村信行/著)
表題作を含めた不思議な短編集です。ジャンルとしては児童文学書ですが読み手によってはホラー要素が強く、また大半の作品の不条理さは大人になってからも忘れられない反面、記憶を消してもう一度読めたらなという気持ちもあります。
・新潮文庫「注文の多い料理店」「新編・銀河鉄道の夜」(宮沢賢治/著)
作品集は各社で様々出版されていますが、今回は私の好きな作品がまとまった新潮文庫から選ばせて頂きました。昔から宮沢賢治の童話は大好きで、初めて読んだ作品は「注文の多い料理店」でした。「銀河鉄道の夜」は不思議な列車の旅路で出会う人々や親友二人の会話、地文で挟まる星々の輝きの意味等、読めば読むほど色々考えさせられる描写が多くあります。他にも「よだかの星」や「双子の星」…お薦めしたい作品を挙げるとキリがないですね。

✿好奇心には正直に!
「図書館へ行っても作家に詳しくないから何を読んだらいいのかわからない」「そもそも活字に食指が伸びない」…そういった方も沢山いらっしゃると思います。そういう方々は、まず自分の「好きなもの」に関するコーナーを覗いてみてはどうでしょうか?私は漫画や映画、ゲームも大好きなので、それらの題材に関係した本もよく探しています。また、全く興味の無い分野も好奇心が勝り一冊、また一冊とつまみ食いしてしまう性格なので、どのジャンルが一番好きかと問われると絞り切れません。小説を読む気分じゃないなら写真集や雑誌を眺めてもいいし、大人だから児童書を読んじゃダメなんてルールもありません。好奇心を原動力に、図書館で視野を広げてみませんか?御利用いつでもお待ちしております。 (花矢・麻)