図書館に行こうよ ―図書館職員の図書館的日常―      177  
     
  八月という月  
     
   今日は8月13日、お盆でお墓参りをされる方が多いのではないでしょうか。昔のように棚を作り仏壇の前にいろいろなものをつるす家庭が私の周りでは減ってきたように感じるのは気のせいでしょうか。お墓参りをしていて感じます。また、今住んでいるところと秋田市でもお墓の様子は違っています。ただそこに共通するものは先祖を敬う気持ちでしょうか。形はどうあれ、「お盆」という行事で先祖に想いを寄せていくことが大切なのかと思います。厳密にいえば宗教性があることなのでだれしも、ということにはならないのでしょうが。

✿ 8月に思うことは
例年ですと、お盆を過ぎると、一雨ごとに涼しくなり秋を感じることが多くなっていきます。今年はどうなるのでしょう。猛暑日が続き、秋田県大館市も全国区の地名になってしまいました。
さて。
六二三 、八六八九八一五、五三に繋げ我ら今生(い)く(朝日歌壇賞受賞:西野防人氏 作)
6月23日は沖縄慰霊の日です。8月6日はヒロシマの日、9日はナガサキの日、15日はカレンダーには終戦記念日とあります。5月3日は憲法記念日。いろんな意見があろうかと思いますが、8月は平和について考える機会の多い月です。戦争を経験した方が実際にはどんどん減ってきている中で、戦争を知らない世代がしていかなければいけないことがあると思います。
来週21日には栗盛記念図書館で「焼けあとのちかい 平和を考えるおはなし会」があります。これは文・半藤一利、絵・塚本やすし「焼けあとのちかい」の絵本を中心に実施されます。実は、この絵本が出た時に半藤氏を呼びたいと企画しました、2年前のことです。その時に半藤氏は骨折していてリハビリ中、今後も遠くへの講演は難しい、車で家から会場まで移動できる範囲でしかできません、と出版社の編集さんから言われあきらめた経緯があります。翌年3月に日比谷図書館で講演を企画していたので楽しみにしていましたがコロナで中止。そうこうしているうちに半藤さんが亡くなってしまいました。
実は(が多くなりますが)、半藤氏と塚本氏の絵本製作のための出会いの前に、半藤氏は塚本氏を認識していて、この人となら自分の戦争体験を絵本に、と思っていたそうです。それまでご自身の戦争体験を語ることのなかった半藤氏が、時間が経過するにつれてインタビュー内容の戦争体験が美化されていくことに危機感を覚え、「自分も東京大空襲を経験している」と言ったことが、もしかしたらこの絵本の出発点かもしれません。
絵本に書かれなかったお話を一つ。命からがら東京大空襲で生き延びた半藤少年が自宅のあった場所に戻ったときに、黒焦げのお釜の中に焦げていない少しのご飯があったそうです。その美味しかったおにぎりの味が忘れられない、と語っていたとか。「焼けあとのおにぎり」というタイトルは却下されたそうですが、そんなお話も聞けるかもしれない21日です。ぜひ足をお運びください。

✿暑くて熱い夏
私事ですが、「被災地でつなぐ高校生の想い」事業として、高校生と共に三陸に行ってきました。
1日目7月31日は、朝5時に中央公民館を出発し、十和田インターで鹿角に住む高校生と合流。残念ながらその時の検温で参加できなかった1名の想いも乗せて陸前高田市を目指しました。この事業での高田松原を守る会の活動への合流は2回目。「いのち・くらし・みどりに寄り添う会」の髙橋秀一氏のコーディネートで実現しました。一昨年に行った時よりも松の木は大きく伸びていました。50年後の高田松原に想いを馳せながら除草作業をしてきました。
翌日は旧大川小学校跡地を案内していただきました。整備が終わり祈念公園になっていましたが、管理棟の内容もまだまだこれから充実していくようです。説明を聞いた高校生の中には「なぜ?」が頭の中を多く巡ったようでした。
高校生たちはたくさんのことを感じ、学んできたようです。「お互いさま」ということ、防災はハッピーエンドでなければいけないこと。そして何よりも自分が行動しなければいけない、伝えなければいけない、と感じてくれたことが最大の成果かと思います。
コロナ禍で万全の体制をとったつもりで出かけましたが、保護者の皆様がどれだけ心配されたか、子どもたちの想いを大切に思い、尊重してくれたことに心より感謝いたします。(保)