図書館に行こうよ ―図書館職員の図書館的日常―      179  
     
   
     
   いつもの年なら、夜になると太鼓や笛などお囃子の練習の音が響き、静かな大館の町も活気あふれる大館神明社のお祭りの時期なのですが、今年も残念ながら新型コロナウイルスのため中止となってしまいました。子どもの頃は、学校を早引きして町内のおみこしを引っぱったり、おこづかいをもらって屋台で何を買おうかわくわくしました。今でも各町内の勇壮な山車やかわいらしい子ども神輿を見たり、屋台を冷やかすことが大好きなくまとしてはとても寂しい秋となりました。

✿○○の秋
 くま個人としては、「お祭りの秋」「食欲の秋」ですが、図書館員としてはやはり「読書の秋」と言わなければなりませんね。連日の猛暑日だった夏と、これからやってくる厳冬期の間のわずかな心地よいこの季節、ワクチンを打ってもまだ出歩くのはためらうこの時期に読書はいかがでしょうか。
 読書と言っても文字がたくさん書いてある本を読むばかりではありませんよ。きれいな景色の写真集で旅行気分を味わったり、クイズの本で頭の運動をしたり、料理の本を眺めてこのおいしそうなお菓子誰か作ってくれないかな~、と思いをはせたりと読書はいろいろな楽しみ方があります。

✿絵本の魅力
  絵本もその一つです。「絵本って子どもが読むものでしょう?」とお思いの方も多いと思います。一般的に絵本は子ども向けですが、マドンナ作、角田光代訳『ヤコブと七人の悪党』や東山魁夷絵、松本猛文・構成『白い馬』など大人の方向けも少しですが栗盛記念図書館にも所蔵しています。ですが子ども向けの絵本もぜひ手に取ってほしいです。読んでいくとじんわりと心にしみてゆく絵本がたくさんあります。秋の夜長ゆったりと絵本を読んでみませんか。
 栗盛記念図書館では7月から9月にかけて、「子ども限定!読み聞かせにチャレンジしよう!」、「『焼けあとのちかい』平和を考えるおはなし会」、「英語絵本読み聞かせボランティア養成講座」が開かれました。それぞれの講座でいろいろな絵本が読まれました。
 「『焼けあとのちかい』平和を考えるおはなし会」では『焼けあとのちかい』の作者である塚本やすし氏ご本人が絵本を読み平和の大切さを訴え、「英語絵本読み聞かせボランティア養成講座」では、日本語で書かれた絵本を英語で読んだり、簡単な単語でも読み方を工夫するだけで絵本の世界に引き込まれることを実感しました。
 特に「子ども限定!読み聞かせにチャレンジしよう!」は、いつもは読み聞かせをしてもらっている側の子どもたちが本を選ぶことから始まり、読み聞かせのやり方を学び、その成果を大好きなおじいちゃんおばあちゃんの前で発表するというものです。子どもたちが選んだ絵本は昔話があったり、通っている小学校で作った絵本であったりと実にさまざまです。共通していることは、おじいちゃんおばあちゃんのことを思って一生懸命選んだ一冊ということです。
 この子どもたちの「読み聞かせにチャレンジ!ドキドキ発表会」が9月19日(日)10時から栗盛記念図書館多目的室で行われます。7月から2か月間3回にわたって練習を重ねてきた子どもたちは、どのように絵本を読んでくれるのかとても楽しみです。おじいちゃんおばあちゃんに限らずどなたでもご覧いただけます。ぜひご来場ください。                 (栗盛 くま)