図書館に行こうよ ―図書館職員の図書館的日常―      181  
     
  本で旅する  
     
   栗盛記念図書館の蔵書点検も今日で最終日です。ハンディターミナルで本のバーコードをなぞっていると、「こんな本あったんだ!読みたい!」と思うことが時々あります。手を止めるわけにいかないので素通りしてしまってそのうち忘れてしまうのがもったいない気もします。「シンクロニシティ」という言葉がありますが、本との偶然の出会いって楽しいものですよね。

✿ 本との出会いかた
 栗盛記念図書館の職員は、時々花矢・比内・田代図書館へカウンター業務をしに行くことがあります。「あれ?いつもの人と違うね?」というところから会話が生まれ、度々行っているとその館のお客様と顔なじみになったりして、ふだんとはまた違った気持ちで仕事ができています。
  館ごとに特色ある本の展示を行っていますから、返却本の配架作業等をしながら発見があったりして刺激を受けています。最近は田代図書館へ2回ほど行きましたが、そこでも本との出会いがありました。その時2階で行っていたテーマ展示が「タレント本」特集だったと思うのですが、面展示されている『真鍋かをりの世界ひとり旅手帖』(祥伝社)が目に入ってきました。テーマ展示は必要に応じてほかの館の本も集めて紹介することがあります。ちなみにこの本は比内図書館の蔵書です。ふだん手に取らない「タレント本」という括りの本でも、館内を歩いていると、こうやって出会うことがあるんですね。私はこの時、「そういえば、私は旅が好きだったな」ということを思い出しました。

✿ こんなご時世だからこそ
 コロナ禍になって旅に出ることがめっきり少なくなってしまいましたが、本は読むだけで、色々な世界に私たちを連れ出してくれます。今回はそんな旅本をご紹介します。
 『ひとり旅日和』…『居酒屋ぼったくり』でお馴染みの秋川滝美さんの旅小説です。人見知りで要領の悪い主人公。職場でも叱られてばかりでうまくいかないのですが、社長から気晴らしに旅に出ることを勧められ、まずは日帰りができる熱海へ。徐々にひとり旅の楽しさに目覚め、佐原、仙台、金沢、福岡…と遠くへ足を延ばしていくようになり、仕事へも好影響を与えていきます。読むと旅行に行きたくなるお話です。
 『47都道府県女ひとりで行ってみよう』(益田ミリ著)…イラストレーターの益田ミリさん、旅エッセイを色々出されています。日本には47都道府県もあるのに行ったことがない場所があるのはもったいない、というわけで、33歳の終わりから37歳までの「実際に行ってみた」旅の記録です。気張ってあれもこれもしっかり計画を立てて…という訳ではなく、ゆるさ加減がちょうどいい、そんな本。  『考えごとしたい旅 フィンランドとシナモンロール』(益田ミリ著)…こちらは同じ著者のフィンランドひとり旅。旅をしながら考えた、時間や人生や自分について…。コロナ禍ではなかなか行けそうにもありませんが、本を開くだけでヘルシンキの街にいる気分が味わえます。
 『旅屋おかえり』(原田マハ著)…売れないアラサータレントの丘えりかは、ひょんなことがきっかけで、人の代わりに旅をする仕事を始めます。彼女の行先の中には本県の角館も。旅になかなか行きづらい今だからこそ、本で旅をしてみませんか? (栗盛・西)