図書館に行こうよ ―図書館職員の図書館的日常―      182  
     
  変わりゆく日常で  
     
   あんなに暑かった夏もあっという間に過ぎ今は秋真っただ中です。以前利用者の方との会話の中で、暑いのと寒いのとどっちがいい?と聞かれその方は自分は夏に生まれているから暑い方がいいと。私は冬生まれなのですが寒いのは本当に苦手で、暑い方が断然いいですよと話したことがありました。日に日に秋が深まるにつれ今年の冬は暖冬でありますようにと願わずにはいられません。

✿今年の珍客
 花矢図書館に異動して3年目になりますが、周りの景色も随分様変わりしました。最初の年は春先からの大量のカメムシの駆除から始まり、ヤモリかと思いきやカナヘビ、そして巨大毛虫など様々なお客様に来館していただきました。今年は巨大クモに来館していただきました。観賞用に敢えてクモの巣を取り払わないで(さすがに玄関ではないので)間近で見ることができ、とても貴重な体験ができました。昔からカメムシが多いと雪も多いと言われているようですが、実際には雪が少なくて大変助かりました。昨年は秋田市や県南の方は記録的大雪に見舞われましたが、大館はそれほどでもなかったのでこれもまた助かりました。今年の春先は全くカメムシは現れませんでしたが、秋になり結構な数が見られるようになりました。果たして雪はどうなることか検証してみたいと思います。

✿変わらないもの
 一番変わったのは図書館の前の景色です。ある時利用者の方に「栗好き?」と聞かれ「大好きですよ!」と言ったらすぐに前の栗林から栗を拾ってきて頂いたことがあったのですが、今はそこには立派な建物が建設中です。こうして日々少しずつ変わりゆく日常で変わらないものって何だろう?とふと考えたときに私的には愛情かなぁと思いました。今のこのご時世、離れていると気軽に会えなかったり、病院に入院したり施設に入所して面会もままならず本当に寂しい限りです。それでもいつも家族のことを思っているのは変わらないのではないでしょうか。家族への想いの詰まった本を少しご紹介したいと思います。
☆『絵本版 象の背中-旅立つ日-』秋元康著
 ある朝、余命わずかであることを神より告げられた象のお父さん。残された時間を家族とともに過ごし、天に召されるという「旅立つ日」と、天に召されたお父さんと家族のその後を描いた「雲の上のお父さん」が描かれています。自分がいなくなったら最初の夜だけ泣いて、そしてあとは笑って生きていってほしいと願う象のお父さんの切ない想いが短かい文章の一語一語に込められ、温かさや優しさを感じます。そして優しいタッチの絵を見ると余計に切なくなります。「一番近くの大事な人よ しあわせだったか?」自分が死んでいくことより、大事な人を残していくことが何よりも悲しくそして先に旅立つことの申し訳なさと自分との時間は幸せだったのかという不安な思い…。旅立つ人と遺された人の両方の気持ちが痛いほど伝わる大人向けの絵本です。
☆『日本一短い手紙 笑顔 第28回一筆啓上賞』丸岡文化財団編
 一筆啓上賞は全国初の手紙のコンクールとして毎回テーマを決めて、第1回『日本一短い「母」への手紙』から始まり、28回目は笑顔がテーマです。「説教中、親を笑顔で見つめたらもっと怒られました。もう私は天使ではないようです。」男子高校生が自分宛てに書いたものです。親としては成長していくことの喜びとその反面、一抹の淋しさを感じるこの短い文面に思わず笑顔になってしまいます。
 日々日常は変わりつつありますが、変わらないものとして図書館は地域に根差し愛される図書館でありたいと思います。

✿お知らせ
◉読書感想画展示会 11月6日(土)に花岡公民館にて花岡保育所園児及び花岡なかよしキラキラクラブの児童有志による読書感想画展を開催しています。子どもたちの感性あふれる豊かな作品を是非ご覧ください。
◉古本、古雑誌プレゼント 保存期間の過ぎた雑誌、受入れしていない寄贈図書を10月23日~11月5日まで花矢図書館にてプレゼントいたします。数に限りがありますのでお早めにいらしてください。お待ちしております。                                          (花矢・久)