図書館に行こうよ ―図書館職員の図書館的日常―      193
 
     
  図書館勤務にあたって  
     
   4月から図書館にお世話になることになりました。コラムというものは初めてなので取り留めのない内容になることをご容赦ください。

本と私
 記憶を辿ると本というものにあまり接してこない半生だったと思います。小さいころから遊びやスポーツに熱中し、白黒テレビからカラーテレビに移った時代に育ったこともあり、所謂「テレビっ子」でした。そんな私ですが、大学になると自由な時間が多くなり、貧乏学生だったことから、神保町の古本屋を回り推理小説(今ではミステリーと呼ぶのが一般的か)、松本清張の三部作「点と線」「砂の器」「ゼロの焦点」、森村誠一「高層の死角」「〇〇~の証明」や高木彬光の「白昼の死角」などを漁り、また、トルストイの「戦争と平和」やスタンダールの「赤と黒」など題名とあらすじをチェックし長編物がお得と思い込み(貧乏性からか?)分厚いものから買っていました。まったく動機が不純ですね()。当時、麻雀に夢中になり、段ボールで作った麻雀パイで遊んでいたころ、直木賞作家でもある色川武大こと阿佐田哲也の「麻雀放浪記」が面白く5冊を一気に読んだ記憶があります。ゼミの教授から人生の書として山岡荘八の「徳川家康」、中国の奇書「紅楼夢」を薦められ購入したものの最後まで読めずにいます。
 国語が苦手だった私は、アルバイト先で出会った東京外語大の先輩に「どうしたら国語の成績が上がるだろう」と尋ねたら「本をなんでもいいからたくさん読め、そうすれば国語の問題と答えのパターンが見えてくる」と言われました。その後、国語の試験がなく「時すでに遅し」でした。

図書館と私
 栗盛図書館には、中学三年、高校三年の夏休みに毎日通ったことがあります。たまに本も借りていましたが目的は受験勉強でした。当時、図書館にエアコンがありませんでしたが、とても涼しかった記憶があり、静寂の中に凛とした空気が漂い、本の匂いが充満した心地よい空間でした。現在の図書館は、増築や駐車場整備をしたこともあり、以前とは比べ物にならないほどの良い環境であると思います。

SDGsの推進
 図書館及び図書の利用そのものが環境にやさしいSDGsの実践だと思います。そこから何を感じ、どう自分の中で熟成させ今後の生き方に活かしていくかが重要なことと考えます。図書館では、後援会や様々なボランティア団体のお力をいただきながら、これからも特色ある事業を進めてまいります。

情報機器との共存
 スマホの普及は凄まじいものがあります。バスやタクシーの待ち時間、電車内やカフェなどでの空き時間には、ほとんどの方がスマホをいじっています。一昔前は、文庫本を読む人たちが多かったので、淋しく思うのは私だけでしょうか。高校や大学を卒業したばかりの新人職員と仕事をする機会が何年か続いたときに感じたことです。わからない単語や略語などを尋ねるとスマホで検索し答えてくれたのはよいのですが、後日同じことを尋ねるとまたスマホで検索し始めたとき「はっ」と感じ、彼らはスマホが万能でスマホがあれば何でもできる。スマホで調べられるものが自分の知識・実力と勘違いしていると思い法令集や関連する解説集などを調べるよう指導しました。
 近年改訂された小中学生の教科書を見る機会がありました。すべての学年に於いてQRコードが搭載され、タブレットをかざすと動画と音声が流れるもので、ICT化が本にも進んできたのだと感心し、子どもたちの理解力の向上はもとより、教師の負担軽減にも繋がるものと期待しております。
 先日テレビで現代人は平安時代の人の一生分の情報を1日で得ているとの報道を見て驚きました。情報過多で、多くの人がストレスを抱えている時代、本と向き合い豊かな心を育むためにも図書館の重要性を改めて感じております。

最後に
 今後もさらにハード・ソフト面ともに様々な環境に適応した図書館にしてまいりますので、多くの方々のご利用をお待ちしております。最後までお付き合いいただきありがとうございました。(坂)