図書館に行こうよ ―図書館職員の図書館的日常―      215
 
     
  春の足音、虫の羽音  
     
 

 長かった雪の季節も終わり、だんだんと春の兆しがここ北国大館でも感じられるようになってきました。今年の雪はどっと降った日もありますが、昨年より少なかった気がします。朝起きて一面真っ白な世界を見て喜んだのはいつまでだったでしょうか。今では朝の雪かきで一日中、疲れがとれなくなりました。
 雪も解け、暖かくなってくると姿を現すのが虫です。6日は、虫が冬眠から目覚めて活動を始める頃という啓蟄でした。自他共に認める犬好きですが、基本的には生きものが好きです。そんなくまですが、苦手というか怖いのが虫です。蛇やカエルなどは話せば理解してくれる感じがします(あくまでも個人の感想です)。でも、虫とは気持ちが通じ合えないのです。怖い羽音を響かせて、集団で刺したり噛んだり人の家を乗っ取ったり。虫たちがいない冬は心安らかに過ごせますが、そろそろ出番だなとばかりに虫たちが出てくる頃です。これから恐怖の日々が始まります。


✿虫の本
 図書館ですので、虫の本も多数あります。特に児童書は本も大きく、写真が多く使われるので、虫の顔のアップや幼虫の写真がいっぱいの表紙を見ると、触るのに若干のためらいがあります。これは本だ、写真なんだ、とわかっていても背中がもぞもぞします。そんなくまが背中をもぞもぞさせながら選んだ本たちです。

〇「イモムシ」(新開孝/写真・文)
 表紙いっぱいにイモムシのお顔がばばーんと載っている写真絵本です。イモムシさんの頭の模様が「目」を表していて、くまをめいっぱい威嚇しています。とても勝てる気がしません。今回勇気を振り絞って初めて中を読みました。写真はきれいでいろいろなイモムシたちが紹介されているのですが、ご出演のイモムシさんたちに圧倒されて半分も読めず本を閉じました。

〇「ホントに食べる?世界をすくう虫のすべて」(山内昭一/監修)
 最近話題になっている「昆虫食」。日本にはイナゴの佃煮やハチノコなどを食べる習慣があり、秋田県内でも昆虫食の自動販売機が設置されるなど昆虫食に注目が集まっていますが、世界でも様々な昆虫の料理があるようです。食料不足の問題の解決など昆虫食が地球を救ってくれる、と期待したいです(食べる食べないは別として)。

〇「バッタを倒しにアフリカへ」(前野ウルド浩太郎/著)
 著者は秋田出身の昆虫学者で、アフリカで大発生して農作物を食い荒らすサバクトビバッタの防除技術の開発で功績が認められ、モーリタニアの言葉で「ウルド(○○の子孫の意味)」のミドルネームを授けられました。2017年に新書で出版されたこの本は新書大賞を受賞し、子どもたちにも読んでほしいということで児童書版も出版されました。新書の方も楽しみながら読んでもらえるような文章で書かれているので、家族で同じ本を読めるお得感があります。

 自分で選んだ「昆虫の本」たちなので文句は言えませんが、今回は恐怖との闘いで大変疲れた原稿でした。


✿ご注意ください
 二階事務室の窓から大文字が真っすぐに見えます。雪に覆われた大文字もだんだんと春の装いに衣替えをしてきています。コラムが書けない、など仕事に煮つまった時、どっしりと構える大文字の姿を見て気持ちを落ち着けることができます。
 大文字を眺めていると、こちらに向かってくる自動車が視界に入ってくる時があります。栗盛記念図書館からほくしか鹿鳴ホールに向かう道は一方通行となっております。ですので、図書館に進んでくる車は逆走していることになるのです。図書館裏側の駐車場から出る際には、必ずほくしか鹿鳴ホール側に向かってください。よろしくお願いいたします。(栗盛 くま)