図書館に行こうよ ―図書館職員の図書館的日常―      237
 
     
  むかしむかし  
     
 

 10日、11日は大館の冬の一大イベント「大館アメッコ市」です。天正16(1588)年から始まったとされるアメッコ市は、この日にアメを食べると風邪をひかないということで、コロナ禍の最中も規模は縮小しましたが続けられました(令和4年は中止)。白髭大神も山を下りてアメを買いに来るので、帰るときは足跡を隠すため吹雪になると言われています。
 くまはアメッコ市に多少の思い入れがあります。平成14年から第2土曜日とその次の日ですが、かつてアメッコ市といえば1112日が開催日で、秋北ホテルから長倉町にかけての歩道には桃色、黄色、緑色のアメをつけ飾られたミズキが並び、道行く人たちの目を楽しませていました。あまりのおいしさにカラスが食べつくし、アメが無くなってしまうミズキもありました。大町の会場では、ステージでのイベントの他、「ジャンボアメ・ギネスに挑戦」、長木川の河川敷ではハチ公雪像コンクールなど多彩な催し物がありました。夕方からは篝火がたかれ、見慣れた大館の街が幻想的な雰囲気に包まれました。こうして昔を懐かしむとは、年をとったなあとしみじみしてしまいます。
 430年以上開催されている素晴らしい伝統行事であるアメッコ市はいつまでも続いていってほしいです。


✿おこうのおはなし
 アメッコ市といえば、白髭大神と一緒にパレードしているおこうちゃんを忘れてはいけません。
 さて、おこうちゃんですが、どうして白髭大神と一緒なのかご存じですか。そもそも「おこうちゃん」とは何者なのでしょうか。その答えが『飴っこおこう』という本に書かれています。
 『飴っこおこう』は大館市アメッコ市実行委員会が1983年に作ったもので15センチと小さな本ですが、佐藤吉彦さんのリズム感ある文章と、殿村進さんの優しい絵が相まって読み応えのある本となっています。
 アメッコ市はいつ誰がどこで始めたのか不明なのですが、『飴っこおこう』を読むとこのお話がきっかけになってアメッコ市が始まったのではないかと思われてきます。栗盛記念図書館で借りることができますので、アメッコを食べながらおこうの物語もご堪能ください。


むかしばなしはいかがですか
 「むかしむかし あるところに…」で始まるむかしばなし。『桃太郎』や『浦島太郎』『かぐや姫』などはざっくりとした内容は分かりますが、『金太郎』はクマと相撲をとることは分かるものの、おしまいがどうなのかはっきり覚えていません。
 今は絵のきれいなもの、内容がおもしろいものなど様々な絵本が日々発行されています。そんな今だからこそ改めてむかしばなしを読んでみませんか。絵本のおもしろいところは、内容が同じでも絵が違うと印象が変わります。読み比べてみると新しい発見があるかもしれません。
 大館にまつわるむかしばなしもいかがでしょうか。ご紹介するのは平成4年から大館鳳鳴高校図書委員会が作った『大館のむがしっコ』です。和綴じ本の手作り感満載のこの本は、地元の文化を伝え保存しようと大館を中心に県内の民話を集めたものです。栗盛記念図書館では1~18巻まであり、一部は借りることができますし、借りられないものも館内で読むことができます。方言で書かれていて楽しいお話あり、怖いお話あり、飴っこおこうや老犬神社、長慶金山のお話も含まれています。
 高校生が勉強の合間をぬってお話を集め、慣れない方言に苦労して作り上げたふるさと大館の「むがしっこ」を味わってみませんか。(栗盛 くま)