図書館に行こうよ ―図書館職員の図書館的日常―      238
 
     
  もうすぐひなまつり  
     
 

 もうすぐ3月ひな祭りです。おもちゃ屋さんにもひな人形が並んでいます。今年は白を基調にした衣装のものが多く驚きました。私の子供のころは赤や紺、金の着物、7段飾りが一般的でした。ひな人形にも流行があるみたいですね。
 山形ではこの時期「ひな街道」というイベントが各地で開催されます。北前船による交易や紅花で財を築いた名家が代々受け継いできた非常に贅をつくしたひな人形が展示されます。絢爛豪華、圧倒される美しさです。大館でも郷土博物館と鳥潟会館でおひなさま展が開かれています。この機会にかわいらしいおひな様を愛で、雅な世界に浸りたいなと思っています。
 ひなまつりは別名「桃の節句」と呼ばれています。桃の木は中国では病魔や厄災をよせつけない不老長寿の仙木とされています。コロナに続き戦争、元旦の大地震と悪いニュースで始まった今年の邪気を追い払ってほしいと願います。ひな人形のように明るく華やかな日々になりますように。


予期せぬ本を探して
 「たくさん本を読もう」そんな目標を立てた方もいらっしゃるのではないでしょうか。現在は家に居ながら好きな本を買い、読むことができます。読みたい本が決まっている方には大変便利です。ただ何が読みたいかわからない方は図書館を活用してはいかがでしょうか。たくさんの本が並んでいる中から目についた表紙の本、気になったタイトルの本を手に取り、とりあえず読んでみる。合わなかったら途中でやめて次の本に。今まで読んだことのない作者やジャンルに挑戦することもできます。そんな中から予期せず心に残る本や新しい知識を得ることができると思います。インパクトのあるタイトルの本が結構出版されていますので紹介します。


◎『「死ね、クソババア!」と言った息子が55歳になって帰ってきました』保坂祐希/著
 捨て台詞を残して家を出て以来音信不通の息子が突然帰ってきて始まった2人暮らし。タイトルからどんなドラ息子かとおもいきや… 後期高齢母と初老の息子でも親は親、子は子。最後は親子の愛情にぽろりと泣かされます。


◎『寿命が尽きるか、金が尽きるか、それが問題だ』こがさら/著
 常識も理屈も通用しない高齢者4人を世話する日々を赤裸々に描いた介護エッセイです。介護を経験した人であればそうそうと共感することが多々あると思います。逆に介護される側になる前にやっておくべきことを考えさせられました。


◎『妻が願った最後の「七日間」』宮本英二/著
 余命宣告された妻が最後に残した詩「七日間」が新聞の投書欄で大反響になり出版された本です。大好きな人たちと過ごす何気ない日常が宝物だと気づかせてくれます。自分が最後の七日間を与えてもらったらどうしたいのだろう。やっぱり普段の生活かな。当たり前の毎日を大切に過ごしたいと思いました。

 興味の対象はその時の気持ちや環境で変わっていきます。様々なジャンルの書架を見て回り、たくさんの本を手に取り読んでほしいと思います。児童書のサバイバルシリーズ、ひみつシリーズもおすすめです。ちょっとした疑問や知りたいことをマンガで楽しく説明してくれます。大人の方も十分楽しめます。
 是非、図書館を探検して予期せぬ本を探してください。(比内 伊)