図書館に行こうよ ―図書館職員の図書館的日常―      243
 
     
  わたしの好きな本の読みかた  
     
 

 何か待ち時間が生じたときに読めるよう、常に本を1冊は持ち歩くようにしています。ここ最近は、ちくま文庫の『本は眺めたり触ったりが楽しい』(青山南/著)が鞄に入っています。裏表紙から引用しますが、こんな本です。「積みあげたり、適当に開いたり、声に出して読んだり、ただ手にとって眺めたり……本の読み方に決まりはない、自由にやろう!本が好きな人は、みんな、いろんなふうに読んでいる。(以下略)」。本の読みかたに関する読書エッセイです。
 今はそんなことはないですが、昔は読み始めたら必ず最後まで読まなければならないと思い込んでいて、自分にはちょっと合わないと思っても無理して読んでいました。しかし、この本によると、積んでいるだけでも適当に開いて眺めているだけでもいい。そうか、本の楽しみかたは読むだけじゃないんだと視界が開けた感じがしました。
 幸いここは図書館です。感覚でぱっと借りて合わなければ読まずに返してもいい。最後まで読み通すことも大事ではありますが、気軽に本と付き合えるのも図書館の良さですから活用しない手はないと思います。


✿ 私の好きな作家たち
 高校の時に国語科の先生が、ご自分の読書体験をお話しされていたことがありました。その方は、「面白いと思った作家がいたら、その著書をドンと全て買い揃えて集中的に読んだものだ」と仰っていました。そういう読みかたもあるんだ、と影響を受けて私も作家読みをする癖がついたような気がします。
 これまでいろんな作家さんにハマってきましたが、ここ数年は絵本や児童書をよく読むようになりました。おすすめ本とともに一部ご紹介します。

・バージニア・リー・バートン
『ちいさいおうち』『せいめいのれきし』『はたらきもののじょせつしゃけいてぃー』など。


・ヨシタケシンスケ
 哲学的で視点がユニークな絵本作家さんです。こんなネガティブなこと絵本に描いちゃっていいの?と驚くものもあります。『メメンとモリ』『おしごとそうだんセンター』『その本は』『あつかったらぬげばいい』など。


・工藤ノリコ
 可愛らしい絵とシュールなストーリーで『ノラネコぐんだん』シリーズにハマり、ほかの絵本も色々読んでみました。『ノラネコぐんだんおすしやさん』『こんやはどんなゆめをみる?』『レターズ』など。


・junaida
 いま個人的にイチオシの画家で、日本人です。お洒落な名前だなと思っていたら、本名をひっくり返しただけなんですね。細部まで描き込まれた絵、独特の世界観に魅了されます。『怪物園』『世界』『街どろぼう』『の』など。


✿ 私の本との接しかた
 人によって本との接しかた、読むときの癖みたいなものがあると思うのですが、私は昔、カバーも帯も全部捨ててしまう子どもでした。学校図書館の本がそうだったからなのでしょうか。そしてなぜか本にマジックででかでかと名前を書いていました。持ち物には全て記名をと教わったからでしょうか。今は帯まで全てつけたままです。書き込みはしません。
 また、子どもの頃は1冊ずつ順に読んでいましたが、今は並行読書のスタイルが定着していて、小説の場合を除き複数冊同時進行で読んでいます(集中力がないともいう)。
 貴方はふだんどんなふうに本を読んでいますか?おすすめ作家さんはどなたですか?好きな本のことなどをお喋りする「読書のお話会」が毎月第1火曜日1330分より松下村塾で開催されていますので、そちらもぜひご参加ください。


✿ かるたで楽しむ百人一首
 最後にお知らせです。栗盛記念図書館では毎月第3水曜日に「図書館でホッとタイム」を開催しています。5月15日(水)は、花輪かるた会さんに教わりながら百人一首かるたで楽しく遊んでみようという内容です。13時から1階の多目的室で行います。無料で、事前のお申し込みも不要ですので、お気軽にご参加ください。ご来館をきっかけに新たな世界が広がりますように。(栗盛・西)