夏の暑さもだいぶやわらぎ、いよいよ「秋」突入といったところでしょうか!?「○○の秋」というと何が思い浮かびますか?「スポーツの秋」「行楽の秋」「食欲の秋」…図書館員としてはやっぱり一番にくるのは「読書の秋」でしょうか…。
昨年の秋は、あちらでもこちらでも連日クマ出没で、家から一歩外に出るのですら怖い状況がずっと続き、こんな間近でクマを見たことがないというくらい何度もクマを目撃しました。今年は山のブナの実が豊作だということなので、「クマさんどうか山でお腹いっぱいブナの実を食べて、ゆっくり冬眠してね」とお願いしたいところです。そんな「クマ」が登場する本を何冊か紹介したいと思います。
✿『クマクマ、クマがいっぱい!』(評論社)マラ・バーグマン・ぶん ヘレン・クレイグ・え 山口文生・やく
クマが大好きな女の子が主人公のこの絵本は、とにかくそこらじゅうがクマ・クマ・クマで、クマだらけ…大きいクマや小さいクマ、まるいクマやかくばったクマ、セーター着てるのやはだかのや、いろんなクマでいっぱい。いっぱいのクマに囲まれ大満足の女の子でしたが、増えすぎたクマはみんな好き勝手なことをしだしてさあ大変…女の子はどうするのでしょう?
✿『クマの子太郎』(佼成出版社)今関信子・作 岡本順・絵
クマの子太郎は、母熊が駆除され残された赤ちゃんクマで、鳥獣保護員の東山さんに育てられました。東山さんは、けがをした動物たちを保護し手当をして野山にかえしてあげています。この作品は今から25年くらい前に発行された本ですが、開発と自然保護の難しさや動物との共存の難しさが描かれています。昨年から続くクマ騒動に通じる内容です。
✿『森のおくから むかし、カナダであったほんとうのはなし』(ゴブリン書房)レベッカ・ボンド・作もりうちすみこ・訳
この作品は実際にカナダの森の中の町ゴーガンダであった実話だそうです。ある夜山火事がおき瞬く間に燃え広がり、湖のほとりにあったホテルの客や従業員、湖のほとりに住んでいた人々は逃げ場を失い、みんな最後の砦ゴーガンダ湖に逃げました。すると普段は姿を見せることのない動物たちも次々と湖に逃げてきました。オオカミやシカやクマ、ウサギやキツネなども人間と一緒に湖の水に浸かりながら、火事がおさまるのをじっと待っていたのです。その間だけ、そこに人間と動物を隔てているものはなくなっていました。なかなかこうはいかないのが現実ですが…。
✿『プーさんの戦争 ―世界一有名なクマのお話―』(評論社)リンジー・マティック、ジョシュ・グリーンハット・文 ソフィー・ブラッコール・絵 山口文生・訳
クマと言えば、ハチミツ好きのディズニーで描かれているクマのプーさんが一番にうかぶのですが、そのプーさんに実在したモデルのクマがいたというお話です。第一次大戦に従軍していた獣医が、カナダから連れてきた野生の子グマがそのクマで、著者はその獣医の孫です。子グマは隊のマスコットとして兵士たちに愛され、世の中が戦争の真っ只中の時に、動物園で愛嬌をふりまき、人々の心を温めようとする…この物語の子グマの行動は著者の想像でしょうが、100年たっても戦争をやめない人類への戒めのようにも思えます。
おすすめの本を4冊紹介しましたが、早く人間もクマもお互いを気にすることなく安住できるといいなと思います。
図書館では、ほかにもいろんなジャンルの本がたくさんあります。是非一度足をお運びください。スタッフ一同皆さんのご来館をお待ちしております。(田代 安)
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