図書館に行こうよ ―図書館職員の図書館的日常―      254
 
     
  秋のおおとり号  
     
 

おぎぬまXという小説家・漫画家をご存じでしょうか。
 1988年東京生まれの36歳。2019年『地下芸人』でジャンプ小説新人賞を受賞されています。
 この方のお知り合いから『地下芸人』を「おおとり号」にご寄贈いただいて、その後『爆ぜる怪人』、『キン肉マン四次元殺法殺人事件』、『キン肉マン悪魔超人熱海旅行殺人事件』、『衝撃の1行で始まる3分間ミステリー』、『3分で読める!人を殺してしまった話』と、新刊が出るたびにお送りくださるようになりました。
 今年8月には、なんと直筆サイン色紙(イラスト入り!)が届き、ただ今栗盛記念図書館のカウンターで展示しております。
 おぎぬまX氏は、図書館で広い年齢層の方々に作品を手にとってもらうことを希望しておいでのようです。「おおとり号」では『地下芸人』を89歳のご婦人が借りていかれた実績があり、お知らせすると「最高齢の読者かもしれない!」と大変喜んでくださったそうです。
 ちょっと週刊少年ジャンプちっくな香りのするミステリー小説、いかがでしょうか。


おおとり号と子どもたち
 「おおとり号」に乗り込んでくる子どもたちは、ときどき元気があふれすぎることがあります。手の届かない書架に本を返そうとして放り投げてしまったり、10冊なんとしても借りたくて、山積みにして持ちきれず床にぶちまけてしまったり。そんなときは、本は大切に扱うようにとお話します。
 迷路やクイズの絵本には、「本にこたえをかかないでね!」と図書館からの注意シールが貼られていますが、落書きや書き込みはあまりない印象です。破れたり壊れたりする方がはるかに多く、修理できるものがほとんどですので、破れたときはテープで直したりせずにそのまま図書館にお持ちください。
 友だちが利用カードを忘れてきたのをみて、「わたしのカードを使っていいよ」と親切に言っているのを微笑ましく思いながらも、「利用カードはひとに貸さないでね。忘れてきてもパソコンで調べれば借りられるから大丈夫!」とこちらから子どもたちの会話に入り込んだりします。
 子どもたちにとって「おおとり号」は、公共物の扱い方、個人情報の管理など、社会生活におけるごく基本的なことの学びの場でもあるのだなと思います。


保護者のみなさんもご一緒に
 児童館のお迎えに来たお父さんとお子さんふたり、ふらっと「おおとり号」を見に来られたので、「中を見て行きませんか?どうぞどうぞ!」とお誘いしました。児童書の書架は車の中にあるからです。
 「へぇ! こんなふうになっているのかぁ!」と声を上げたのはお父さんでした。何冊か手にとって、「お父さんは、こういうのを読んでほしいけどな」としきりに勧められていましたが、お子さんたちが選んだのは違う本でした。
 車内が混み合っていると、保護者の方たちは外で待っていてくださるのですが、余裕があれば是非中に入っていただいて、お子さんと一緒に本を選んでいただきたいと思います。
 大人が子どもに読ませたい本と、子どもが読みたい本は違うと思いますが、おうちで大人と子どもがそれぞれ好きな本について語りあえれば、それは家庭内ビブリオバトルですね。きっと楽しいはず!


読書の秋ですもの!
 「おおとり号」がステーションにいるのを見かけたら、是非お立ち寄りください。市内4館から借りた本の返却や予約も承ります。
 ほんの少しの間の立ち読みも大歓迎です。ちょこっと立ち話をする感覚でおいでください。とはいえ秋から冬に向かうこの季節、風邪をひかないよう暖かくしてお出かけください。(昌)