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読書の秋ですね。今回は、少し個人的な内容になりますが、常日頃の興味関心について思うままに書いてみたいと思います。このコラムの副題も「図書館職員の図書館的日常」なのですから、たまにはこういうのもいいのではないでしょうか。そして読んでくださったかたに本や読書、図書館について少しでも関心を持っていただけたら幸いです。
✿本を読めない人のための本
私は読書が大好きですが、本を読むことについて書かれた本も好きで手に取ることがあります。いわゆる「読書術」や「読書論」の本ですね。最近では、本が読めないと嘆く人に向けて書かれた本も多く目にするようになりました。ちょっとご紹介してみます。
『本を読めなくなった人のための読書論』若松英輔、『本は読めないものだから心配するな』管啓次郎、『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』三宅香帆、『〈読んだふりしたけど〉ぶっちゃけよく分からん、あの名作小説を面白く読む方法』三宅香帆、『読書は鼻歌くらいでちょうどいい』大島梢絵、『本を読んだことがない32歳が初めて本を読む』かまど・みくのしん、『あたしは本をよまない』コウタリリン、『「罪と罰」を読まない』岸本佐知子ほか、『積読こそが完全な読書術である』永田希、…等々。タイトルを挙げているだけであの本もこの本も…と楽しくなってきましたが、キリがないのでこのへんで。
前述の『本を読めなくなった人のための読書論』の中で印象に残っている箇所があります。「毎日書店に通っていると書架に並ぶ本は代わり映えしないように感じるが、自分の中身が日々変わっているので、呼応するように目に留まる本が変化する」というようなことが書かれていました。考えてみれば当たり前にも思えますが、新たな気づきを得た思いでした。1冊本を読むと、得た知識は血肉となり、意識の面で読む前とでは違った自分になります。するとまた新たな興味関心が芽生えて次の本が目に留まります。「並んでいる本は変わらなくても自分のほうが変化している」。そういった意識で書架を眺めてみたら、新しい発見があるかもしれません。
✿無限に増える読みたい本
熱しやすく冷めやすいためか、読書にもその傾向が表れているなぁとよく思います。その時々でブームが起こるのです。ある時は絵本、ある時は児童書、ある時はミステリー、ある時は短歌、ある時はフィンランド、ある時は…。同じ作家やテーマの本を集中的に読むことが多いです。まだ少ししか読んでいないですが、最近は韓国文学にも興味が出てきました。新聞で韓国語翻訳者の斎藤真理子さんのインタビュー記事を読んだのがきっかけです。理系科目は全くだめですが、科学や地学分野の本も興味があります。分かり易い児童書からあたってみています。これまであまり触れてこなかったSFも、手を出してみようとしています。
小説の登場人物の作品間リンクという手法も面白くて好きですね。ある作品に出てきた登場人物を別の作品にも登場させるもので、事前情報なしに読んでいて気づいた時はびっくりして嬉しくなり、また別の作品も読んでみたくなります。辻村深月、中山七里、伊坂幸太郎などがその手法を使っています。ネタバレになるのでどの作品かは述べないでおきましょう。
とにかく本が大好きなので、毎日本に囲まれ、本や読書をお勧めする仕事ができてとても幸せだなぁと感じています。
✿読みたい本に出会えるイベントあります!
明後日10月26日(日)、栗盛記念図書館の多目的室で「ビブリオバトルin AKITA
北鹿大会」が開催されます。
ビブリオバトルとは知的書評合戦とも呼ばれるゲーム。始まりは2007年。京都大学大学院情報学研究科のゼミの読書会で、当時ゼミ生だった谷口忠大さん(現・同大同研究科教授)らが良い本との出会いの仕組み作りのためにルールを作り、全国に普及させました。
バトラーと呼ばれる発表者(今回は中高生)が1人5分の持ち時間でおすすめ本の魅力を発表。観覧者との質疑応答のあと、観覧者が「いちばん読みたくなった本」に1票を投じ、最多票を獲得した本がチャンプ本となります。午前10時30分から中学生大会、午後2時から高校生大会です。読みたい本がきっと見つかる楽しいイベントです。観覧は事前申し込み不要で、無料です。皆さまのお越しをお待ちしております!(栗盛・西)
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