朝晩の風が急に冷たくなりすっかり秋本番ですね。少し前まで「暑い、暑い」と言っていたのがまるで嘘のようです。カレンダーに目をやれば、もう9月の終わり。そろそろ本気で気になるのが『衣替え』です。押し入れから秋冬物を取り出し、夏の間お世話になった半袖や小物と取り換える、なかなか大変で正直面倒だなと思っていませんか。しかし、これは四季のある国ならではの作業です。これからの美しい紅葉などに思いをはせながら、楽しく進めていきたいですね。実はこの『衣替え』、日本では平安時代から続く歴史ある習慣と言われています。昔の人も季節の移り変わりをしみじみ感じながら、寒さに備えて服を整えていたのかもしれません。
秋の夜長は温かい飲み物を用意して、ゆっくりと本を開くのに最適な時間です。今回は、洋服と温かな日常が描かれた小説をいくつかご紹介します。
◎『ライオンのおやつ』 小川糸∥著
若くして余命宣告を受けた雫は、瀬戸内海のホスピスで残りの日々を過ごすことを決めます。荷物の中には旅立ちの衣装として選んだワンピースが。「食べて、生きて、この世から旅立つ」という誰にでも訪れる死をテーマにしながらも、決して暗い物語ではありません。あたたかい人々との交流を通じて今生きることの愛おしさを教えてくれる、涙の止まらない優しさに満ちた感動作です。
◎『昨夜のカレー、明日のパン』 木皿泉∥著
亡くなった夫の「妻」と「父親」という、血のつながらない二人の不思議な同居生活。大切な人を失った傷を抱えながらも、日々の暮らしとおいしい記憶を通して、ゆっくりと再生していく姿が描かれています。身近な人が亡くなった悲しさだけでなく、じんわりと心に染みる名言やクスッと笑えるエピソードが満載。遺品の「黒いジャージ」が重要なキーアイテムになっています。
◎『マカン・マラン』シリーズ 古内一絵∥著
昼はオーダーメイドの仕立屋、夜はドラァグクイーンのシャールさんが夜中にしか営業しない夜食カフェ。そこには悩める人が次々と集まってきて、極上の薬膳料理と温かくも厳しい言葉に救われていきます。心と体がゆっくりほぐされ、じんわりと心が温かくなる小説です。シリーズには『女王さまの夜食カフェ』『きまぐれな夜食カフェ』『さよならの夜食カフェ』『女王さまの休日』があります。
✿昭和の記憶
先月、実家に帰省した際、母や姉妹、娘たちと昔話で大いに盛り上がりました。「ここ、写真屋さんだったよね」から始まり、「その前は映画館があった」等、母の口からは私たちの知らないことまで。懐かしい街並みや古い家電の話など次々と出てきて、世代を超えて楽しい時間を過ごせました。図書館には昭和の生活がわかる写真集や本があります。皆さんも是非、当時の記憶を呼び起こしながら思い出話に花を咲かせてみませんか。(比・伊)
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