図書館の分類をおもしろがる(2015/01/30掲載)
 3日前に見えた月は半月でした。その前に見た時はまだ新月だったのに。日本で最も日照時間の少ない秋田県らしい空模様が続きます。

いま書いていて思ったんですが、半月(はんげつ)って月齢が新月から数えて7日目くらいですよね。でも、読みが違う半月(はんつき)だと約15日間。なんかおかしくないですか。上弦のはんげつから下弦のはんげつまではおよそはんつきだから、いいのかな……。そんなことをくよくよ考えているから、仕事もコラム書きも遅くなる。困ったもんです。


図書の分類


 ものごとを区別してグループ化して整理する。分けることで分かるようにする。これがつまり分類ということですが、図書を分けて並べる必要のある図書館も分類は欠かせません。ということで、図書の分類法について。

現在の日本の公共図書館では、ほとんど全てと言っていいほど「日本十進分類法(NDC)」が採用されています。1928年に森清氏が発表したものに何度も改訂が加えられ、この1月26日に新訂10版が刊行されました。

十進の名のとおり、10個ずつ段階的に分けていく方法ですが、最初の10個(第1次区分=類目)は次のとおりです。

0総記 1哲学 2歴史 3社会科学 4自然科学 5技術 6産業 7芸術 8言語9文学

次に、類目ごとにそれぞれ10個に区分します。第2次区分(綱目)です。これで世界を100個に分けるわけです。このくらいに分けると探している本がどこにあるか大体見当がつくので、書架の脇などに第2次区分表(綱目表)が貼られています。

さらに綱目を10区分して第3次区分表(要目表)がつくられます。ただし、ここまでくると当てはまる項目が10個ないのも出てきます。

とりあえずここまでで3ケタの数字で千の区分ができました。これで終わりかというとさにあらず。3桁の次にコンマを置いて、さらに数字を足していけるのです。図書館で一番多いのは913.6という記号ですが、これは9(文学)1(日本)3(小説)に時代区分の6(近代)を加えたものです。

コンマ以下は4桁くらいまでありますが、理論上はいくらでも分けられます。それらは細目表として、2分冊の『日本十進分類表』の内の1冊を占める量になっています。例えば911.1351は古今和歌集を表します。読み方は、「キュウイチイチテンイチサンゴイチ」です。


分類はおもしろい


 前項で全国の公共図書館が同じ分類法を使っていると書きましたが、厳密にすべて同じというわけではありません。各館の都合やポリシーによって独自の記号も使います。大きな区分けで言うと、大館市立図書館の場合、児童書は記号の頭にJ、絵本はEという記号が付き、請求記号の書かれた背ラベルの枠の色も分けています。他に郷土資料はKで区別しています。

 ジャンル分けに迷う本も少なくありません。例えば、清水義範の『どうころんでも社会科』(講談社、1998年)の場合、中央図書館では304(社会)、田代図書館では914.6(エッセイ)に分かれています。これは、どちらも正しいとしかいいようがないです。そういえば清水義範の『国語入試問題必勝法』(講談社、1987年)という小説は、当時学習参考書売場に置く書店があると揶揄されていました。中央・比内・田代にありますが、3館とも913.6でした。ちなみに市立図書館に学参は置いていません。

 分類すなわち書架の排列(配列)なのですが、あれっと思うこともあります。3類の社会科学の棚を順番に見ていくと、37教育、38民俗学ときて、39で唐突に国防・軍事の本が並んでいます。5類(技術)でも55海洋工学の中に559で兵器・軍事工学が出現します。違和感は否めませんが、この分類法ができた昭和3年当時、軍事は機密事項で一般書籍が発行されることはなかったはずですから、後から加えられた項目ということでしょう。そんな時代性は、53機械工学の後ろの方に、537自動車工学、538航空宇宙工学、539原子力工学が並んでいることからも分かります。また逆に、6産業で61農業、67商業などと同等に63蚕糸業があるのも時代を感じさせます。

 分類=書架の配列を見ていくのもなかなかおもしろいと思うのですが、いかがでしょうか。(陽)