『狩野良知はなんと読む?』(2016/01/08掲載)


 松飾りもとれて遅ればせですが、あけましておめでとうございます。今年も大館市立図書館をご利用くださいますよう、よろしくお願いいたします。

 昨年は敷地内の除雪が思うに任せず、利用者からお叱りを受けることが何度もありました。それに引きかえ今年は新年早々、来館した方から除雪がよろしいとお褒めの言葉をいただきました。雪が少ないからと言ってしまえばそれまでですが、今年は、昨年並みの豪雪が来ても対処するべくチームワークを固めて事にあたっています。問題は体力・気力がもつかどうかですが、誰しも褒められればやる気が出るもの。どうか皆さん、私たちをおだててその気にさせてください。

 とはいえ、褒めるだけでよい仕事、よい人、よい国ができるなら苦労はないわけで……。お叱りをいただいたからこそ、何とか満足してもらえるように工夫しようとか、見返してやろうとも思うわけです。除雪はともかく、褒めることと叱ることの塩梅は難しいと、ことしも悩み、迷いながら仕事をしていくことになりそうです。ま、毎年のことですが。

 

✿よしとも?りょうち?

 中央図書館の正面入口左手に、狩野父子顕彰碑が建っています。皆さんご存知でしょうが念のため、父子とは狩野良知(父)と狩野亨吉(子)です。

 狩野亨吉(かのう・こうきち)は、夏目漱石をはじめ友人知己に恵まれたことや安藤昌益を発見したことで元々知られていますが、父の良知は広く知られているとは言い難いでしょう。良知の著した『三策』を吉田松陰が入手し後に松下村塾から出版されたという縁は、昨年のNHK大河ドラマもあって注目、されたのかな。『花燃ゆ』を見ていないのでよく分かりませんが。とにかく幕末・明治に生きた良知の人生は、弟の旭峰とともに波乱に満ちた面白さではあります。それから、良知、亨吉の父子は、早々に官職を退き、その後の名利を求めない(というよりも嫌う)生き方が共通していますね。もっと知られてよい親子であることは間違いないところです。

 それはともかく、「良知」はなんと読むのでしょうか。ふたつの読みを耳にします。「よしとも」と「りょうち」。さて、どっち?

 こういう時図書館員は、信頼に足る情報源に頼ります。いわゆるレファレンスブック(参考図書)です。中央図書館なら、その名の通り参考図書室にある人名事典の類です。

 まずは『人物レファレンス事典Ⅱ近世編』(日外アソシエーツ、1983年)を見ると、「りょうち」でした。さらに大部の『日本人名大事典』第2巻(平凡社、1979年)でもりょうちです。この大事典は日本の人名のレファレンス基本書のひとつです。他に、共に日外アソシエーツ刊の『名前から引く人名辞典』(1988年)、『歴史人名よみかた辞典』(1989年)はいずれもりょうちでした。

 人名の場合、出身地の出版物にも目を配る必要があります。そこで、『秋田人名大事典第二版』(秋田魁新報社、2000年)を繙くと、これには読みが記されていませんでした。名前は恣意的な読み方ができるので、人名事典の少なくとも見出し語にはすべて読み仮名を振るべきでしょう。次に地元大館の出版物を見ると、『大館の人・事典』(大館市の先人を顕彰する会、2010年)には振り仮名なし。2004年発行の『大館市先人顕彰祭全記録集』(大館市先人顕彰祭実行委員会)には「よしとも」、『増補訂正桂城文化と人物』(大館市文化顕彰会、1961年)にも、よしとも。大館郷土博物館のホームページも開いてみました。郷土博物館>バーチャル博物館>先人顕彰の部屋>人文科学と辿ると、出ました狩野良知。読みは「かのう・よしとも」!学界と地元の対立の構図か?

 というわけでこのレファレンス(自問自答ですが)、原稿の締め切りに間に合わず、まだ答えが出ていません。この項続く、です。

 

✿本日高校生の読みきかせ

 よい子のみなさん、きょうはまちにまった高校生のおにいさん・おねえさんたちのよみきかせ会があります。ちゅうおう図書館で10じから11じまでです。5つの高校のとしょいいんが、はりきってよみきかせをします。とくに、おおだて高校、おおだてかつら高校、おおだてこうぎょう高校は、4月からがったいしてひとつの学校になるので、いまの学校の名前ではさいごのよみきかせ会です。ぜひきてくださいね、まってます。  (陽)